「 福 宿 る 〜 栗田 咲子 展 」

Category : 現代美術シッタカぶり
2014.4.29〜5.11【 gallery morning 】

情念の、というのとは大きく異なる画風です。
風景、光景の切り取り方、掴まえ方は
やはり栗田さんだけのセンスです。
「市井」というのを調べてみると、
井戸のまわりに人は集まったこと、
もう一説では道が井の字をしている、とか…
つまり端的に言うところの「巷(ちまた)」なんですね。
栗田さんはこの「ちまた」を描かれているのではないでしょうか。
作品を眺めているうちに、そんな風に思えてきます。
作品の魅力を構成している要素に「描き込みの間尺」があげられます。
人を描こう、あるいは人の周辺に漂う空気を描こうと思えば、
描き込みたくなるのは人情とも言えますが、
栗田さんの絵を見てわかるのは、そのさじ加減が絶妙だということです。
面白いのは描かれている対象の輪郭の朧(おぼろ)げさが
実は背景処理の妙によって、かえって際立つということなんですね。
これこそが栗田さんの筆法というものなのかしらと
心の中でひとりごちたりします。

CIMG1390.jpg

壮年の男性たちの寄り合いでしょうか、
ほら、栗田さんの“なにげないちまた”です。
このシーンの手前に鳩をあしらうことで、巷の風景が
ピリッとスパイシーになりました。
おっと、エッセンスと言い換えた方がいいでしょうか。
それは道具小屋の手前の白い犬にもみてとれます。

CIMG1395.jpg

どの作品を見ても「向こう」と「手前」、
あちらとこちらの、色彩ではないコントラスト感に
“気が利いている”なぁとすべからず感じるわけです。
もう一つは絵具の置き方。
トーンを抑えた色合いがまったりとした印象ではあるけれど、
それほどの湿気はない、これは筆さばきによるものとシッタカぶります。
このかすれた置き方が鑑賞者との間に心良い間合いを生みます。
いわゆる「クドさ」のない絵です。
クドさがない分だけ僕たちはシーンの空気を読み取ることができます。
天気や湿度、温度、会話の大きさ、人の佇まい…

CIMG1391.jpg

このシーンを切り取る理由。
理由を明確にする必要はもしかしたら無いし、
語る義理もないかも知れませんが、
じっと作品を見ていると、
何となく作者の目になっていくのがわかるんですね。
ああ、こういうことか、っていう…
改めて言いますが、どの作品もトリミングが魅力です。
絵って、よく考えてみたら
その人なりの切り取り方があって成立しているものですよね。
このささやかな裏切りとでもいえるような、
それでいてとても安寧な栗田さんの絵は
ますます磨きがかかって(いや磨かない方がいいのかな)
バタ臭さと洗練さがマイルドに溶け合う感じになっていくのでしょうか。

そうか、この安寧がタイトルそのものだったんだ…

CIMG1397.jpg

CIMG1399.jpg

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