「 鳥になる種 〜 山本 佳子 GLASS WORK 」

Category : 現代美術シッタカぶり
2014.6.17〜6.22【 ギャラリー恵風 1F 】

「フュージング」と「パート・ド・ヴェール」について
ちょっと検索してみました。
ガラス工芸については全く無知ですが、
作品に出会うたびにこうした未知の言葉を知ることができます。
ところが覚え切らないのですね、これが…
いわゆるエイジングという宿命ですか…

最初のギャラリー廻りでこういう作品に出くわすと
なんだかその日、一日得した気分になるものです。
山本さんの作品がどうだこうだと打つのもおこがましいほどに
とても“見栄え”がする個展でした。
見栄えというのは勿論見せ方もありのでしょうが、
やはり裏付けされた技術あればこその成果です。

ガラス工芸には吹きガラスのように溶けたガラスを扱う「ホットワーク」と
先に出て来ましたフュージング、パート・ド・ヴェールのように
そうではない「コールドワーク」と呼ばれるものがあります。
かなり大雑把な説明で申し訳ありませんが、
板ガラスを細くカットし、あらかじめ作った型にのせて、熱を加えて
溶かして作品を作ります。これをフュージングといいます。
切った板ガラスに加えて粒状ガラス、パウダーガラス、棒状ガラスの
ガラス素材を組み合わせて、融合させます。
またパート・ド・ヴェールは耐熱性のある型にガラスの粉を敷き詰めて
溶かす技法です。
フュージングは二つと同じものが作れないのと
パート・ド・ヴェールは型をそのたびに壊すので
どちらも大量生産には不向きです。
その引き換えに「神秘性」というガラス工芸になくてはならない
突出した魅力を得ることになります。

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山本さんから説明を聞いても現場を見たことがないだけに
素人には難しいことばかりですが、
作品一点一点のクオリティの高さもさることながら
その展示方法、つまりご自分の作品を
より効果的に見せるテクニカルな部分に妙にそそられてしまいました。
それもそのはず、出自は建築、インテリアということですから
空間演出に長けているのは当然です。
バックライトを効かした展示は全て自作とのこと。
やはり、デザインというものをよくご存知です。
ケースや瓶に施された文字もとてもバランスを考えられたもので、
デザインを生業にしていた僕にはよくわかります。
「博物史シリーズ」は再生のための実験室、と
ステートメントでも書かれている通り、
なんというか、とても男前な個展なんです。

鳥の頭部の骨格を標本の様相で見せていますが
細部にわたって、ガラス加工のスリリングな時間を
封じ込めたようで、奇麗と危うさとが融合された、
ガラスによる復活といった風情の仕上がりになっています。

山本さんはガラス技術をアカデミックな教育環境で学んだ方ではなく、
趣味のステンドグラスから、このようなスタイルを確立したといいます。
やはり誰のものでもないスタイルを作るということには
ガラスに対しての柔らかな執念といったものを高いモチベーションで
持ち続けることが必要なのでしょうね。
繊細で、なおその“か弱さ”もガラスの持つ普遍的な魅力ではありますが、
いずれ土になる骨と同様に、失われていくものの、
哀れさを再構築してみせる山本作品の魅力は
今後ますます磨かれていくことと思います。

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