のびアニキよ、いずこへ…「明るい無常観 金子良」

Category : 現代美術シッタカぶり
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のび3

【京都芸術センター ギャラリー北】4月14日→5月10日

第11回岡本太郎現代芸術賞特別賞を2008年に受賞した 若手アーティストの2人展。
そのうちの一人、“のびアニキ”こと金子良の部屋は
これから始めるパフォーマンスについての下準備で忙しそう…には 見えず、
スタッフと嬉々とカサコソと企みの表層を伺わせる。
何をしてもドジを踏む、他者とのコミュニケーションベタな自分を
とことん客観視し、自らのコンプレックスから生まれたキャラクターを
のび太ならぬ“のびアニキ”として確立させたパフォーマーである。
いや、確立させたと納得しているのは実は彼だけかも知れない。
こうして街へ繰り出した“のびアニキ”は さまざまに出会う事象に、
子供のようなリアクションをする青年という
不可思議な判断を見る側にゆだねる戦略で表現活動を起こす。
会場のところどころのモニターに映し出される、
それらの パフォーマンスは「快い軽い失笑」とも言うべき
ほのかにユルく、見ようによっては気まずい空気を醸し出す。
言ってはいけないこと、してはいけないことを
さりげなく披露する“のびアニキ”は
同時にある種の “あざとさ”をも自覚しているであろう。

信号待ちをしているサラリーマンの隣りで彼の動きを徹底的にトレースする。
三角公園でミニカラオケで「カナダからの手紙」を歩きながら熱唱。
公園でくつろぐ人に無作為にマイクを突きつける。小さな子供にまで。
携帯で話す人の横で“エアー携帯”パフォーマンス。
マンガに描かれるドロボーの扮装で、何カ所かの交番の前を 行ったり来たり…
警察官が出て来ると走って逃げる。
全く踊れない盆踊りの輪に入り、見よう見まねで踊る。
幼稚園のお遊戯の横でお遊戯真似。保護者たちの目線。
街角で鼻くそを取り、食べる…

いかにも優しそうな青年がのび太のままの恰好で
町中を歩くこと自体は単なる「嗜好」で片付けられることだが
(どんな扮装で歩いても露出しているのでなければ、おとがめはない)
ここに特異な行為がプラスされることによって
この、のび太コスチュームが特別の意味を持ちだす。
しかし、彼はコンプレックスをこのような形で克服し、利用し、
あげくに受賞までしてしまう「強さ」を身につけてしまっている。
僕は弱さから始まるダメさが王道だと思っているから
このある種の「芸」にも似た「アート着ぐるみ」「アートやらせ」に
さしたる感慨は無い。
くだら面白い=アートというありがちな構図は、
ナンセンスとも違う「泡沫アート」と呼べる愚作を排泄する。
しかも評価でもされようものなら、勝手に一人歩きを始めるのである。
彼のパフォーマンスは確かに「虚をつく」。
この「虚のさじ加減」が軽妙でオカシ味を作り出すスパイスになる。
しかし無垢であるということは同時に無知であるということ。

街でそのパフォーマンスをする“のびアニキ”を見つけたら
大人として注意してあげなければいけない。(彼も立派な大人だが)
その時の彼のリアクションがこの“芸術”の「鍵」を握るのでは…
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