「 矢野 洋輔 個展 〜 壁に貼る幽霊 」

Category : 現代美術シッタカぶり
2014.7.29〜8.10【ギャラリーモーニング】

決して出会い頭につんのめったという感じではないのですが、
アンテナをちょちょっと擦られたような、くすぐったい、
感覚を柔らかくはぐらかすような、感じにさせられ、
やがて作品を前にして珍奇な心地よさを体感します。
矢野さんは乾漆の出自ですが作品を見て、
そのことに言及したりするのがとても野暮に思えてきます。
ここにあるのは矢野作品であり、
その経歴なり何かを如実に反映しなければならないという
類いのものでもない、とこれまたそこに帰結してしまうような、
それこそ緩い勢いを受けてしまうのです。
お隣でおそらく知人にでしょうか、説明をしているご本人を見ると
尚更のように細かいこと、
つまりは理由などを訊くのもはばかれるような雰囲気です。

さて、作品ですが、ここで画像なしに説明せよと言われたら、
それこそ僕の文章力が問われるほどに難しいことですが
さずがに小吹さんはライターです(失礼)
「虚を突かれ、不思議な気分に宙づりにされる」とあります。
なるほど、そのまんまです。
力の入れ具合の妙といいますか、
さしずめ「亜脱臼」と呼びたい抜き加減が伺えますが、
それとてこっちの勝手です。

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結果的に形容のしがたい造形が目の前にポンと立ち現れ、
やはりちょっととまどうのですが、
鳥には見えます。
ただどこの時点で彫る手を止めたのかが、とても気になるのです。
足も、そう、よく粘土を細くひも状にした、あの感じが
とても“マジメ”に出ています。
矢野さんもそれほどには自分の作品に説明的ではありません。
拙い造形と見せかけた相当な確信犯かも知れません。
いずれにせよ、矢野さんの柔和な企みに
乗っかってみるのも一興であると思います。
そこで「土をこねたような木彫」です。
もう、この一言で全てがストンと落ちます。
その視点で改めて作品を見てみると
その完成度に納得されると思います。
巧い、という漢字では当てはまらない、
カタチを捉える「上手さ」のようなもの、と
言えばよいのでしょうか。

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「リース」という文字通りリースの作品は
しかし、一般的に扉に飾るそれとは異なり、
どこかに不穏な気配が忍んでいるような造形になっていますし、
パンと蛾という組み合わせや、植木鉢を入れるために彫ったというカゴ、
二股の半立体作品、そして、なぜ、ここにあるのかと問わずにいられない
「黒い不安」と題されたハンギングボックス。
これはどこからみても普通の手紙入れですが、
文具の画鋲2つによって壁に展示されています。
まるでプラスチックのようなチープな質感には
漆の重厚さやストイックな印象はどこからも受けることはありません。
これに限らず、他の作品の展示方法の「亜脱臼感」は
それも含めて矢野作品なんだと言い聞かせるほどに、確かに変です。
一人の人間が作ったとは思えないほどにバラエティに富んだ個展ですが、
矢野さんが今後、どのように変容・変態していくのか、
とても気になる、そして尾をひく展覧会でした。

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