「 突き抜け隊 第3回本公演 〜 R i v e r 〜 」

Category : パフォーマンス見聞
はし

2014.9.26.〜9.28【京都市東山青少年活動センター創造活動室】
作・演出:長谷川 直紀
出演:澤雅展、辻井直幸、藤原美保(ソノノチ)、柳泰葉
演奏:山田佳弘

京都の川、大阪の川と一言でくくってしまうのは乱暴ですが、
例えば大阪の中之島へ行って、さて川を見て和むかと言われると困るんですね。
人工的な風景、造形物の中に流れる濁った川と
“手頃”な川幅と、そこそこのローカル感漂う鴨川とは決定的に異なります。
幼い頃に僕が住んでいたそばを流れていた隅田川も
川べりと呼べるものは無かったような気がします。
コンクリートで固められた、いわば治水を念頭に置いた都市型の川です。
そこにそこそこの広場があったり、ベンチがあったりする…
タイトルが示すとおり、川が重要なシチュエーションになります。
何気なしに、時間つぶしに、話をしに来るところは公園や緑地というよりは
この斜めに川に差す川渕を持った「町中の川」が似合っています。
夕餉が近づくと照明がほんのり照らす公園よりも
人の顔を判別させないほどの暗がりを、そこここにこしらえる川の方が
物語を作る上ではるかに魅力的です。

行方知らずの兄、そんな兄を忌み嫌う妹、幼なじみの兄妹

彼らにとって一つの動かざる風景として、心象的な背景として川があります。
幼い頃に家を出て、妹と共に橋の下で怒りを抑えながら過ごした時間は
今もそこにうずくまっているようです。
嫌なことは川に流してしまおう、などと能天気な気分にはなれないほどに
この川は澱んでいます。
予想もしなかった突然の兄の帰郷に、それまで溜まっていた澱のような思いが
それこそ腐臭を伴ってふつふつと、この責任とは無縁に見える男の背中に
浴びせかけられます。
救いは…というと、この兄の飄々とした人間性そのものです。
憎めない逆ギレではあるけれど、それはあくまで観客のものであって
(つまり辻井さんという役者さんの役者たるところであるという意味で)
当の妹や世話を焼いてきた幼なじみにとっては、やはり我慢ならないもの。
今までダメ兄のことで見えにくかった妹の“弱み”というのが
最後の方で明らかになってきます。
冒頭からの妹の圧倒的なキレ方は(寸止めとも言える演技)
彼女のささくれだった心情をうまく表現できないという
不幸な側面をも垣間見せてくれます。
それもこれも全て兄のせいにするのは簡単なのですが、
澤さん演じる“もうひとり”の兄も
なんだかモラトリアムな感じで、働く妹との温度差が
ちょっととした言い合いを作ってしまうのです。
僕には兄弟がないので、いつもこういうやりとりを
半分?はうらやましがっているところはあります。

前回、小さな小屋で見た突き抜け隊の
舞台の狭さを逆手にとる演出に大いに感心しました。
必要から迫られた手法だったのでしょう。
そして、それは時として濃密で味わい深い効果をもたらしたりもします。
こうしたある程度動ける広さの舞台は、それなりの難しさも感じます。
それはお芝居をしている当人が一番よく知っているのかもしれません。

生きていく上で「嫌なこと」があります。
むしろその方が多いでしょう。
それは必要なことでもあります。
そのことに鈍感な人は、きっとどこかで
人に「嫌な」思いをさせているでしょう。
だから「嫌なこと」はしっかりと忘れずにいた方がいいのです。
自分がそれをしないために。
これは座右の銘でも何でもなく、
突き抜け隊」が演じる「嫌なこと」というフィクションが、
どこかでふと“思い当たる節”として、
見たひとのノンフィクションとして置換させればいいのではないか、
などと思うのです。
但し、リアルとか、ではなくて。
演劇は再現なのでそれによって“思い起される力”を立ちのぼらせる、ということです。
時々思うのが
思いっきりコメディをやってみたらどうかな、と。
もっと「嫌なこと」が浮き彫りになるかもしれません。
やればやるほど切なくなる哀しくなるコメディ…

今回はこちらから申し出てフライヤーのデザインもやらせてもらいました。
こういう関わり方で今後も「突き抜け隊」を応援していきたい、と
僭越ながら思っております、ハイ。

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